毎日新聞・2月18日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長 石川隆宣

【水俣病公式確認70年『政治解決に100%はない』大島元環境庁長官回顧(社会面に連載①「償いを問う/国の区分 住民の絆切る)】

 高度成長期に深刻な被害を及ぼし、公害の原点とされる「水俣病」は、1956年の公式確認から5月1日で70年となります。今から約30年前の1995年にあった「政治解決」の際に、環境庁(当時)長官として対応した大島理森・元衆院議長が、毎日新聞のインタビューに応じました。当時の首相、村山富市氏(故人)の強い意志が決着を支えた、とした上で、「政治にパーフェクトな結論はなく、妥協が絶えずつきまとうのが民主主義」「できない範囲があることを(未認定患者団体に)理解してもらうのが政治の説明責任であり責務だった」などと振り返りました。

 70年を迎えようとする今も、企業・国などによる補償や救済を巡り、多くの人が訴訟を争うなど、問題は終わっていません。社会面では連載「償いを問う 水俣病70年」が始まりました。95年の「政治解決」で、救済策を受け入れた語り部の70代の女性を取材。偏見を恐れて長く水俣を語れなかった過去を振り返り、申請期間や対象区域を区切るなど国の解決手法が、新たな住民間の分断も招いた現実、差別を助長した事実への苦しい胸中を告白します。「本当の最終解決は、誰もが水俣病を語り合えることーー」。連載では、今もなお、多くの課題が残る補償や救済のあり方を問い直していきます。