毎日新聞・9月28日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長 田中成之

【がんと命 歩いて悟った84歳/医師の垣添忠生さん】

 がんを専門とする医師の垣添忠生さんは、84歳のこの夏「銀幕デビュー」を果たしました。東日本大震災の被害を受けた東北地方の太平洋岸を、徒歩で巡る旅のドキュメンタリー映画「Dr.カキゾエ 歩く処方箋~みちのく潮風トレイルを往く~」の「主演」を務めたのです。自身も2度のがん経験のある垣添さんは、妻をがんで亡くしています。その悲しみを記録した「妻を看取る日」を書いたことで家族を亡くした悲しみをいやす「グリーフケア」の重要性を感じ、がんとの向き合い方が深まりました。医師としても個人としてもがんと闘い、各地を歩きながら家族を亡くした人々の悲しみに寄り添ってきた垣添さん。その人生に池上彰さんが迫ります。

(1、3面)