【爆風で飛散したガラス片で失明/反核の哲学者が便箋に記した被爆前後の広島とは】
広島原爆の爆風で顔にガラス片を浴び、右目を失明した高等師範学校の教授。その直前まで書いていた日記と、その日以降に語った言葉を教え子が記した文書が昨年末、元教授の自宅で見つかりました。
教授は後に一切の核を拒否する「核絶対否定」の姿勢を貫き、被爆者運動を引っ張った哲学者、森滝市郎さん(1994年1月、92歳で死去)。三十年余り前の取材で、生前の本人からこれらの存在を聞いていた記者が初めて文書に「対面」しました。日記には刺さったガラス片や飛び散ったインクの跡が残り、教え子による聞き書きには「さいやく記」というタイトルが付けられていました。
「こちら側に座りんさい」と若かった記者に真っ正面から話をしてくれた晩年の森滝さん。「反核の哲学者」が被爆直後に感じたこと、考えたことを読み解き、500回を超えた抗議の座り込みなどその後の歩みにも迫りました。(1面、3面)