【「移民大国」から脱米入欧 増える移住者 トランプ氏復権で加速】米国から欧州への移住を目指す動きが広がりつつあります。欧州からの移民を中心に築かれ、今も移民希望者が絶えない「移民大国」から、一部とはいえ、欧州に人が逆流する動きの背景には何があるのでしょうか。
移住先として人気の高いポルトガルの統計当局によると、長期滞在の査証(ビザ)を取得した米国人は2020年の1055人から、23年には4636人に増加しました。欧州の中では比較的安い物価や、新型コロナウイルス禍の後のリモートワーク普及などが背景にあるとみられますが、こうした流れに拍車をかけたのがトランプ米大統領の返り咲きでした。
アフリカ系米国人の男性(61)は、21年1月にトランプ大統領の20年大統領選での敗北を認めない支持者らが連邦議会を襲撃した事件をきっかけにポルトガルに移住しました。「今の米国は司法も、大学も、メディアもすべてが安全ではなくなった」と語ります。極端な政策をとるトランプ氏への不満が高まる中、欧州への移住を目指す動きはさらに加速する可能性があります。(三面)