毎日新聞・11日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【無農薬の新米が5キロ2000円/バナナと育つタイ産コシヒカリ】

 コメ価格の高騰が続く昨今の日本ですが、タイでは思わず二度見してしまうほどの安さで高品質をうたうコメが売られています。常夏のタイでどう育てているのでしょうか。記者が現地を訪れると、日本での農業技能実習経験を生かして、バナナの葉の陰で毎月ジャポニカ米を収穫している農家の男性に出会いました。

 「ジャポニカ米に必要とされる寒暖差がないこの地で、本当に育つのか心配でした」と振り返る男性。田んぼにバナナを植えて大きな葉で日陰を作るなど工夫を重ね、12枚の田んぼにローテーションで毎月田植えをすることで、年間を通じて収穫できるようになりました。販売価格は、5キロ2000円でも現地のタイ米の10倍といいますが、在庫がすぐに売り切れる人気だそうです。

 日本の米不足や低収入のタイの農家を救う切り札になり得るのでしょうか。現状と課題を深掘りしました。(1面、2面)