【生活保護減額 最高裁「違法」】
政府による生活保護費の引き下げを巡る訴訟で、最高裁は生活保護法に違反する、との判決を出しました。生活に困っている人たちの「いのちのとりで」が守られた。原告たちはこの判決をこう意義づけて歓迎しています。
全国で1000人超が起こした同種の訴訟に関する初めての統一判断です。訴訟の対象になったのは、2013~2015年に政府が段階的に生活保護費を引き下げた措置。物価の下落率を一律に反映させて約580億円を削減した「デフレ調整」について、物価変動率のみを指標とすることに専門家の意見を聞く手続きを踏まなかったことなどを問題視して「違法」と認定しました。
判決は宇賀克也裁判長を除く4人の多数意見に基づくものでした。宇賀裁判長が反対したのは、さらに踏み込んで政府の責任を問うべきだとの姿勢のためです。生活保護受給者の間での公平を図るための約90億円の減額の根拠となった「ゆがみ調整」についても、「誤りがある」と主張し、他の裁判官が認めなかった政府による損害賠償も認めるべきだとしています。
この判決について、1面、3面、社会面で詳報しています。