【アスベスト禍 住民支援20年 78歳元尼崎市議】「母が中皮腫と診断されたんです」。兵庫県尼崎市の元市議で「尼崎労働者安全衛生センター」の事務局長を長く務める飯田浩さんが、このような相談を受けるようになって20年になる。中皮腫は肺などを覆う膜にできる難治性のがんで、発症原因の大半がアスベスト(石綿)の吸引とされる。
尼崎市では、市内にある大手機械メーカー「クボタ」の旧神崎工場で勤務経験のあった社員らが「アスベスト関連病」を発症し、多数の死亡者が出ていた。工場勤務経験者から相談を受けていた飯田さんだったが、周辺住民にまで被害があるとは思いもよらなかった。だが、2004年の秋、旧神崎工場の周辺に住んでいたことだけが共通する3人が原因不明の中皮腫を発症しているのに気づいた。以来、住民の被害救済に奔走することになったが、被害は当時の飯田さんが想像できないほど広がっていた。(1、3面)