毎日新聞・5月5日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集局次長・堀雅充

【白寿女性が語る「留用」の日々 戦後中国、共産党の政府職員に】

 戦時中に旧満州で教師を務めていた日々は旧ソ連の侵攻で一変しました。着の身着のままで逃げ、多くの人の死を目撃し、飢えの先に待っていたのは、中国共産党による収容でした。そして、「生きるため」に党の職員として現地で過ごしました。

 終戦後、中国の社会機能維持のため、中国共産党や国民党の要請で技術協力者として働いた日本人を「留用者」といいます。1947年段階で約6万人が留用者となり、その多くが53年に帰国しましたが、共産党政府職員になったケースはまれとみられます。時代の波に翻弄された99歳の言葉に耳を傾けました。(社会面)