毎日新聞・5月30日付朝刊「今日のイチオシ!」 デジタル編集本部次長・草野和彦

【がん治療のリアル/遺伝子でわかること】がん全体のおよそ1割が遺伝性と言われています。本来は遺伝子の特徴を知ることで、血縁者も含めてがんの発症予防や早期発見につなげられるはずですが、あるアンケート調査では本人や家族が遺伝情報を巡って「不適切な扱い」を受けたケースが報告されました。「医療保険の加入を拒否された」「学校や職場でいじめを受けた」・・・。取材に応じてくれたマコトさん(仮名、64歳)は遺伝性の前立腺がん患者で、叔母にそのことを伝えたところ、関係が疎遠になったと言います。叔母は「がん家系と思われるのが嫌だ」と言っていると、ほかの親戚から伝え聞いたそうです。

 

 米国やフランス、韓国などでは遺伝差別を禁止した法律があります。日本でも患者団体や研究者が法制化を要望しており、与野党の議員グループが通常国会中の成立を目指しています。企画第2部の初回です。(12版から1、3面)。