毎日新聞・5月3日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長 鮎川耕史

【気づいたら「運び屋」 元ベトナム実習生、麻薬売買の片棒】

 

 技能実習生として来日したベトナム国籍の男性が、意図することなく違法薬物の「運び屋」になってしまい、警察に逮捕されました。男性は技能の習得と豊かさを求めて日本を訪れ、部品製造工場で技術を磨いていました。やがてコロナ禍に見舞われ、実習先の仕事が半減します。言葉の壁から人間関係をうまく築くこともできず、侮辱的な言葉をかけられたのをきっかけに実習先から逃げ出しました。各地を転々とするなかで、出会った男性に頼まれた仕事は「2万円で荷物を運ぶ」ことでした。「何のために日本にきたのか。後悔しかない」。男性の言葉に潜む事件の経緯を取材しました。(社会面)