毎日新聞・3月1日付朝刊「今日のイチオシ!」  編集編成局次長・猪飼順

【2022年の出生数 初の80万人割れ】 

 厚生労働省は28日、人口動態統計の速報値を公表しました。2022年の出生数は過去最少の79万9728人で、統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割りました。一方で死者数は過去最多の158万2033人。死者数から出生数を引いた「自然減」は16年連続で、減少幅は過去最大の78万2305人。少子高齢化による人口減少の進行を象徴する結果とりました。

 出生数は7年連続の減少で、前年より4万3169人(5・1%)減。速報値には、日本在住の外国人や在外日本人の数が含まれ、今後発表される確定値は、日本に住む日本人の数で集計するため、速報値より少なくなる見込みです。国立社会保障・人口問題研究所は、確定値で80万人を割るのは30年と推計していましたが、想定より8年ほど早いペースで少子化が進んでいます。

 

 特に都市部は、さまざまな手を打ちながらも手狭な住環境など構造的な問題を抱えています。ここ数年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きかったが、専門家の分析からはそれだけではない社会要因も浮かび上がってきます。「社会や経済の基盤が大きく変わる」(厚生労働省)という危機感に見合った、総合的な対策を講じられるかが問われています。(12版から1,3面)