毎日新聞・2月28日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長・草野和彦

【滋賀・日野町事件/元被告の死後の再審を大阪高裁も支持】滋賀県日野町で1984年、当時69歳の商店経営の女性が殺害された強盗殺人事件で、大阪高裁は27日、無罪を訴えながら無期懲役が確定し、服役中に75歳で死亡した元被告の男性の再審=裁判のやり直し=を認める決定をしました。2018年の大津地裁の決定に続くものです。

 再審請求後に検察が提出した捜査当時の写真のネガを含む新証拠を踏まえ、決定は元被告の自白の信用性否定。元被告は再審請求中に死亡しましたが、後を引き継いだ長男は決定を喜ぶ一方で、「刑務所に行かなければ、父は今も生きていたはず」を悔しさもにじませました。

 

大阪高検が最高裁に特別抗告するかが次の焦点ですが、死刑や無期懲役事件で「死後再審」の開始が確定すれば、戦後初です。(12版から1面、2面、社会面)