毎日新聞・2月10日付朝刊「今日のイチオシ!」 デジタル編集本部次長・小坂大

【消えゆく安倍家 衆院山口4区に後継者不在】

 

政治の舞台裏を解き明かす連載「読む政治」では昨年7月の安倍晋三元首相の銃撃事件で、政界から名前が消えることになった安倍家と、後継を期待された同族の岸家の葛藤と決断の背景を追いました。病気で辞職した岸信夫前防衛相の長男、信千世氏は父の跡を継いで衆院山口2区補選に立候補する意向を示しました。信夫氏は安倍氏の実弟で、信千世氏は安倍氏の地盤だった衆院山口4区補選の後継候補にも名前が挙がりました。

 

しかし、2区を選んだことで、安倍・岸一族からの4区の擁立は絶たれました。山口県は次期衆院選で小選挙区が一つ減り、3選挙区になります。岸親子の決断には「世襲批判」もあるうえに、仮に補選で勝利しても、新しい区割りでの公認を巡り、安倍氏と同じ下関市を地盤として争ってきた林芳正外相、高村正大氏らとの政争も待っています。日本でも有数の強力な保守地盤の思惑と駆け引きにも迫ります。(12版から1面、3面)