毎日新聞・1月28日付朝刊・今日のイチオシ! 編集編成局次長・猪飼順

【東京五輪組織委の元次長を立件へ テスト大会談合事件で】

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が発注したテスト大会の計画立案業務を巡る談合事件で、テスト大会の運営を担った組織委大会運営局の元次長が入札参加業者を公募する前、特定の企業に落札者が決定していると伝えた疑いがあることが関係者への取材で分かりました。複数の落札企業などを独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で捜査している東京地検特捜部は、元次長が受注調整に欠かせない役割を果たしたとみており、企業側との共同正犯として立件する方針を固めた模様です。

 特捜部と公正取引委員会は、組織委が競争入札で発注した26件を落札した9社のうち広告大手「電通」「博報堂」など8社と、下請けに入った2社を2022年11月に同法違反容疑で家宅捜索しました。このうち一部の企業の担当者は、特捜部の任意の事情聴取に談合を認めていることも新たに判明。特捜部は複数の企業の担当者も立件する方向で詰めの捜査を進めている模様です。

 

関係者によると、元次長は特捜部の聴取に「落札者が決まっているという趣旨の発言をしたつもりはない」などと談合への関与を否定しているといいます。(12版から1面)