毎日新聞・1月8日付朝刊 編集編成局次長・猪飼順

【旧ソ連の日本向けラジオ局 宣伝の裏で橋渡し役も】

旧ソ連から日本に向けたラジオ放送がありました。ラジオのダイヤルを回して周波数を合わせていくと雑音が混じる中から、かしこまった調子の声が聞こえてくる。「こちらはモスクワ放送局です――」

 社会主義体制の宣伝放送でしたが、冷戦中の東側の事情をわずかながらでも知ることができる情報源でもありました。第二次大戦後、シベリアの収容所でスカウトされた元日本兵、日本のテレビ局アルバイトから冒険を求めてギターを手に旅立った若者。日本語放送のアナウンサーやDJをつとめた人の経歴はさまざまです。ソ連の崩壊をどう伝えてきたのか。現在のロシアのウクライナ侵攻をどう感じているのか、放送を担ってきた人たちの半生に迫ります。

 

(12版から1、3面)