毎日新聞・12月14日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長・木戸哲

【防衛予算確保で復興所得税20年延長】

 防衛費増額のために政府・与党が検討している財源確保策の大枠が明らかになりました。2027年度までの5年間で新たに必要となる約17兆円のうち、約11・1兆円を歳出改革や税外収入などで、残りの大半を増税で賄う方針です。

 東日本大震災の復興財源として所得税額に2・1%を上乗せしている復興特別所得税についても、37年までの上乗せ期間を20年程度延長し、税収の約半分を防衛財源に回すことが検討されています。ただ、復興財源の転用は野党だけでなく自民党内からも批判の声があがっており、動揺や反発は簡単に収まりそうにありません。

 岸田首相は13日も財源確保は「今を生きる国民の責任」だと述べ、増税の意思に変わりはないと強調しました。しかし、自民党安倍派には財源は国債発行で賄うべきだという意見が強く、不満が渦まいています。

 

 これまで道路や橋の整備など公共工事に使い道を限っていた建設国債を自衛隊の施設整備に充てることも検討されていますが、突然の方針転換も大きな議論を呼ぶ可能性があります。(12版から1面、2面、総合面)