毎日新聞・11月30日付朝刊「今日のイチオシ!」 編集編成局次長・草野和彦

SNS 歴史書き換え】かつて独裁者が支配し、数万人の市民が拷問にかけられた事実が「なかった」ことにされる。現実にこんなことが起きた国がフィリピンです。暗い負の歴史を持つマルコス独裁政権時代が、経済発展を成し遂げたという「黄金時代の物語」によって美化されているのです。マルコス一族は復権し、元大統領の長男が今年9月、大統領選で勝利しました。「歴史の書き換え」の原動力になったのがSNS(ネット交流サービス)です。現地で探ると、乏しい教育環境によってSNS上のフェイクニュースを信じ込みやすい状況が作られていることも分かりました。(12版から1、3面)